「ちいさいおうち」もあります(イギリス・レッチワース田園都市)

(2013年8月に訪問した時の記録です。)レッチワースは田園調布がモデルにした町…と聞くと、「高級住宅街なのね」と思われてしまいそうですが、それは違います。たしかに大きな家もあり、またおしなべて屋外空間は非常にゆったり取られていますが、「家のサイズ」だけに着目してよくよく見ていると、コンパクトなおうちも用意されています。

いや…これは「デパートで見た家具が家に配達されると入らない現象」で、実は大きいんじゃないの?(全体の風景が大きいから小さく見える)…と疑いたくなるかもしれませんが…いやいや僕は巻き尺あててないし、たしかに庭や外構はゆったりしているものの、家だけを集中して見れば、そう大きくもないのでは?と思います。ワンフロアの「高さ」に関していえば、日本よりずいぶん高いような気はしますが。

レッチワース田園都市のオリジナルのコンセプトは「一般の勤労者に良い環境を」ということであって、その意味では日本のニュータウンと変わりません。しかし、その「良い」部分を保とうと1世紀以上頑張った結果、プレミアムが生じてしまっていることは、たしかなようです。「良い住宅街」のジレンマですね。値段が高くなれば、若い家族はやって来にくい…。

1世帯あたりの平均人員は2.3人ということでした。これは千里の状況とあまり変わらない数字で、勝手に親しみを感じてしまいましたよ。2.3人であれば、あまり家が大きくても暮らしにくいでしょう。掃除とか…光熱費とか…庭の手入れとか…。しかもレッチワースの場合、庭が草ボーボーでも自分の庭ですから!という開き直りは通用しないようです。ちゃんと維持できないと、いけないのです。(おカネがあれば業者に頼むという手もあるか…)

「華美ではない上質」というバランスが、この町では働いているようでした。(つづく

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