ただのベッドタウンじゃないぞ(彩都)

「集合住宅&研究機関の配置&紹介を楽しみにしています」とリクエストをいただいたのですが、研究所の建物を撮っていないので、まずは道路案内で場つなぎ…。
彩都にはバイオ関係の研究機関が集まった一角があり、ここには(すでに出来ている建物だけで)医薬基盤研究所彩都バイオインキュベータ彩都バイオヒルズセンターエムジーファーマ日本食品分析センターペプチド研究所が立地しており、その入口には地域医療とがん治療に特化した彩都友紘会病院もあります。もう、道行く人で白衣を着ていない人はいないぐらいです…というのはウソ!
大先輩の千里ニュータウンは最初から「ベッドタウン」と割り切って…つまり当時は住宅難がそれだけ深刻だったので…オフィスは千里中央地区センターの西町側に造られただけでした。ちょっとだけオフィスを造ったのは、用途変更をするとそれだけ土地を高く売ることが出来た…という事情もあったようです。
世界最初のニュータウンとされるイギリス、レッチワースでは、独立した都市性を持たせるために「働く場所」が造られましたが、けっきょくロンドンから50km程度ではロンドンへ働きに行く人が多くなってしまい、小さな都市に職場を作っても職業選択の幅があまり出てこない…という実態がわかっていました。まして千里ニュータウンは大阪都心まで15km。ならばベッドタウンと割り切ったほうがいい…と設計者は考えたようです。
しかし千里ニュータウンを追うように阪大移転が決まり、万博が来ることになり、広大な跡地が生まれることが決まっていて、かつその過程で彩都の土地が取得され…「グレーター千里」として考えた場合に、住宅地だけでは求心力が持たない、大学などの集積も生かして「知的集積」を作り、千里を単なる住宅地から脱却させようという構想が、彩都の計画には反映されています。ただし同時期に進んでいた京阪奈の学研都市と同じ関西の中で「食い合い」が起きないように…ということで、「バイオに特化する」という路線が決まったとのことです。
彩都は千里ニュータウンや万博公園と広域でひとつの都市機能を発揮するように計画され、千里中央のライフサイエンスセンタービルは、彩都と連動して作られました。
…という理想どおりになっていくのかどうか?未来は誰にもワカリマセ~ン。ブランクのマスをあけた案内板は、この若い町の将来性と不安を現しているようです。町も人も、若いっていうことは、そういうことだよね…。

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