谷戸のこいのぼり(東京・多摩ニュータウン)

ちょっと遅いですが…これも去年(2010年)のゴールデンウィークに行った時の写真。
谷間にゴージャスに泳ぐこいのぼりの群れですが、実はこの谷間は多摩ニュータウンの計画除外地。地主さんの土地と思われます。谷間を挟む丘から丘へ、右手の橋が架かっていて、丘の上だけがニュータウンになっています。
このように水の便がいい谷筋をニュータウンに入れず、尾根筋だけを開発してニュータウンにしている例は、全国にたくさんあります。泉北も…西神も…尾根筋だけを開発したのでニュータウンの地域が一つにまとまっていません。神戸三田国際公園都市にも、このような対照は見られます。千里ニュータウンのように(上新田の集落を除いて)丘も谷も全部ニュータウンにしてしまっている例は、むしろ稀だということが、あちこち回ると、わかります。
これはたぶん、「全部ニュータウンにする」ことよりも、地主さんとのトラブルを避けながら少しでも早く土地の買収に決着をつけて住宅を造ることを優先した名残りでしょう。農業をする立場からは、丘の上は水の便が悪く、利用価値が低いので買収に応じやすいということだと思います。
その結果、「丘の上のニュータウン」というイメージが生まれ、全国に「○○台」という地名がニュータウン的地名として出現しました。「農業に使いづらい場所」は「陽当たりがいいあこがれのマイホーム」に変身したのです。
昔の多摩丘陵の面影は谷筋に残っているわけですが、低地に住むか、高地に住むかという選択は、縄文と弥生の過去から繰り返されてきた人々の生活の変化を反映している、歴史的なウェーブとさえ言ってもいいのかも。
それにしてもこのこいのぼりの数!橋の上のニュータウン族の子供が見ることも意識してるのかな?こいのぼりの団地に見えなくもありません。

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