遠くの町の仲間たち…豊見城団地(沖縄)

沖縄は那覇市の南隣にある豊見城団地。「豊見城」は琉球オリジナルでは「とみぐすく」、共通語化された呼び方では「とみしろ」ですが、この団地名は「とみしろ」。ニュータウンと関係のない旅がしたくなり、やや体調も回復したので思い立って沖縄に行きましたが(36回目)、結局ニュータウンぽいところを探して行ってしまいました。というのもこの団地(県営+市営)、沖縄県内では「最大規模」で(と言っても16ha)、千里より新しく建てた従前の住棟が海砂を使っていたため早く傷み、モデル的に建て替えられたとネットで読んだからです。豊見城(とみぐすく)市は那覇市のベッドタウンで、急成長して2002年、村から市に一足飛びになりました。

米軍住宅のような芝生の広さ!+たぶん建替前から残したのであろうガジュマルの木陰。「これからの建替の範になる」をめざしただけあって、沖縄らしく(かつ団地らしく)、いい感じです。ベランダは風が通るようにスリットが入っています。

沖縄ではスローながらも米軍用地の返還が進みつつあり、牧港米軍住宅の跡地の那覇新都心は内地のどこにもあるような町並みになってしまいましたが、規格っぽいと思われがちな団地の建替にむしろ沖縄テイストが表現されているのは面白いと思いました。

沖縄はもともと狭いうえに本島南部に人口が偏っていて、起伏が複雑で、米軍に土地を取られていて、かつ人口増加率が高い。ということで土地事情は大変きつく、建て替えて高層化したときに「もっと詰める」選択もあったと思うのですが、中央の土地をこれだけ空けているのは、これはもう「意志」だと思います。那覇空港からわずか5キロの立地でこの空間は素晴らしいですね。緑のメンテナンスも草ボーボーとかはげちょろけとかじゃなくて、とても上質感がありました。

建替計画のpdfがこちらにありました。(実際の建て方はこの計画から変わっています。)

豊見城団地は基地跡ではないですが、基地の土地が還ってきたときにどんなまちをつくるのか、そういうところで沖縄は注目です。

※これと別に「豊見城(とみぐすく)ニュータウン」という場所がありますが、これは民間の開発地で豊見城団地とは関係ありません。

この投稿は2018年11月29日にfacebookに投稿した文章・コメントに加筆したものです。

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