パリのニュータウンを映画で鑑賞する『友だちの恋人』

パリ郊外の団地を舞台にした映画を見た延長で、調べているとパリのニュータウン(ville nouvelle)「セルジー・ポントワーズ」を舞台にした映画を発見!中古DVDをamazonでゲットして、さっそく鑑賞しました。タイトルは『友だちの恋人』(L’Ami de mon amie)。amiには(女性から見た)「男友だち」という意味があり、「女友だち」を意味するamieと対をなしています。

副題「友だちの友だちは友だち」からも雰囲気が伝わってきますが、若い女性2人と男性2人が新しくて白っぽいニュータウンを舞台にお洒落な恋物語を展開し、最初につきあっていた(or思っていた)組み合わせとは逆の組み合わせになって収まる…という話です。1988年。

まるでバブルの頃に日本で流行った「トレンディ・ドラマ」みたいですが、影響があったのかどうかは、わかりません。ニュータウンのPR映画じゃないか?と思うほどニュータウンの都市機能や豊かな自然が撮られていて、「友だちの友だちは友だち」という副題も、べたべたでもなければよそよそしくもない、ニュータウンらしい距離感の人間関係を描いているように思えました。(深読みか?)

前に紹介した、移民が多い団地を舞台にした「バティモン5」とは、全く違う世界観でした。

何でも新しくて小洒落ているのは「初期のニュータウン的」なんですが、日本のニュータウンと大きく違う設定もあります。登場人物はほぼ20代、単身で暮らしていること(親の家と行ったり来たりはしている)。女性2人は市役所の職員(24歳だが下っ端には見えない)と大学の学生で、ある程度の都市機能(勤務先、通学先)がニュータウンの中にあることが背景になっている点です。「核家族のベッドタウン」ではないのです。恋人関係が組み替わったりするのも、核家族の町を舞台にすると不倫関係になってしまいます。(このあたり「セルジー・ポントワーズ」のリアリティをどの程度反映しているのか、作劇上の都合で変えているのかは、わかりません。)この映画から36年、町はどのように変わったのでしょうか。

見ているうちに、行ってみたくなってきました。来月には、オリンピックが始まります。そんな時期に行ったら、バカ高に違いありません。パリ都心から北西に約30キロ離れているようですが…。物価や治安も調べたいから、今はまだDVDを見て空想しているだけにしておきます。

この町を2000年代に訪れた京都のN先生によれば「かつてニュータウンだった町」という標識が出ているそうです。見てみたいと思いませんか?

(追記)AmazonのPrime Videoでも見られるようです!

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