遠くの町の仲間たち…希望ヶ丘(大阪・豊能)

またの名を「北大阪ネオポリス」。「ニュータウン」というより「新興住宅地」と呼んだほうがいい小さな規模の開発地ですが、北千里からバス一本で行けること、バス一本なのにすごく「遠い」山の中にあるということで、見に行ってきました。北千里から一時間以上かかります。
北千里を出たバスは千里中央を通り、粟生団地を通り、勝尾寺から北摂霊園を通り、高山を通り、豊能町の中心である余野を通って、ようやく希望ヶ丘にたどりつきます。北摂霊園や箕面森町よりも北にあるのです。
実は3年前に開通した箕面グリーンロードの箕面トンネルを通ればもっと早くたどりつけるのですが、トンネルを通ると通行料金がかかってしまうためか、バスはくねくねと山道を走ります。北摂の山中にはいくつかの小規模なニュータウン…住宅地がありますが、希望ヶ丘の立地は…実際に行ってみると…きわだって遠い。冬場は積雪や凍結することもあるようです。
そういう場所を開発することについて、僕は本当に言葉がありません。住んでいる人たちにとっては納得して買っているマイホームなわけだし、それを外の人間がとやかく言うことでもありません。町の価値は都心からのアクセスだけで決まるのか?ここは全戸が分譲の戸建です。
ただ実際に行ってみて、この町の魅力って何だろう?と考えると、やはり周辺の山里の豊富な自然に尽きるだろうと思いました。…そう考えるとこの町の課題は、立地そのものよりはむしろ、立地がユニークなのに、郊外のどこにもあるような、まったく「普通の町」を山の中に造ったことにあるような気がしました。
人口が減り、高齢化がますます進むことが確実なこれからの日本で、遠い郊外の町をどうしていくか?は、時代が社会に突きつけている大きな宿題です。都心に近い町とは違う魅力を探すのか?減っていく人口で薄く静かに町を保っていくのか?それとも…?
希望ヶ丘が語りかけるものは、すべての日本のニュータウンにとっても「他人事ではない」テーマなのです。

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