地方では高齢者すらすでに減少し始め、雇用の減少が若者の流出を加速し、大都市圏しか人口を保てない「極点社会」化が始まっている…。一方で都市は人口集中から生活コストが高止まりし、非婚化を加速している…(NHKの番組より)。

この報道は衝撃的で示唆に富んでいますが、都市(とくに東京)にいるとたえず若年層が供給されるので日本社会の巨大な変質が実感できないのが、落とし穴。元岩手県知事の「人口減少社会は避けられないけれども、なだらかな人口減少になればいい」という認識はリアリティがあります。

(以下ニュータウンオタクの視点)都市圏では(残念ながら)「郊外から都心への人口回帰」の流れは止まらないでしょう。「遠い郊外」では(災害や除雪などの「強い負の条件」がないかぎり)「この地区全員撤退」ということは日本ではできませんから、全体に人口がうすくなっていきます(スポンジ化)。

移民政策も一度に政策転換すると混乱するので「ずるずるとゆるめる」ことにしかならないのでは?しかし中国さえも人口減少に折れ曲がり高齢化に進むことが予測されているし、「資源の限界」は政治を不安定にするからアジア全体もやがて人口減少に向かっていくでしょう。…ということは「移民で人口減少を止める」のは決定打にはなりません。日本人自身が住みたくない社会に、外国人はわざわざやって来てくれないです。

千里のような「近い郊外」は遠い郊外からの転入と都心への流出が拮抗して、「人口を保つ」のがやっとでしょう(それでも千里は、日本の中では十分に「勝ち組」です)。集合住宅の大規模建替が進むうちは人口は微増か横ばいを保てるでしょうが、「それが終わったあと」は入れ物の数が変わらないわけですから世帯あたりの平均人数が減れば、それにともなって再び人口は減り始めます。

同じ町の中でも「駅近への集中」が顕著になるでしょう。人口減少×高齢化は労働力の減少を意味するので各自への「時間負荷」は増えます。家族がばらばらに生活して誰にも共通して楽なのは駅に近い場所。駅から遠い戸建住宅街は「空き家があたりまえ」になっていくでしょう。その変化はもう始まっています。「空き地は防げないが荒れさせない」。そこで予防線を張る対策が、現実的な対応になるでしょう。

この投稿は2014年5月3日にfacebookに投稿した文章に加筆したものです。

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