人工国家の求心力装置(シンガポール・アンモキオ)

(2018年7月に訪問した時の記録です。)団地の外廊下を見上げると、国旗国旗国旗…。ほかにも国旗の飾りつけをしている場所があり、「これは何だろう…?」と調べてみたら、どうやら建国記念日(8月9日)を控えてのデコレーションだったようです。旗をたくさん使って華やかなのは、お国柄。

シンガポールがマレーシアから独立したのは1965年で、僕が行ったのは2018年ですから、「区切りのいい周年」ではありません。植民地からいきなり道立したのではなく、イギリス領→マラヤ連邦→マレーシアと短い間に変化を繰り返し、さらに「再独立」した点が特徴的です。

シンガポールは多民族国家なので、言ってみれば住民寄せ集めのニュータウンと、成り立ちから言っても似ています。アメリカ合衆国も、そうですね。

そこでは「まとまっている」ことをあたりまえのように期待することはできなくて、たえず「まとまりを意識させる装置、しかけ」が必要です。

ニュータウンでは「まちびらき○○周年」といった周年イベントが5年おきとか10年おきとかに企画されることが多いと思いますが、そういうことは日本の普通の町どこでもやってるのか?と考えると、違うような気がします。少なくとも、ニュータウンのほうが熱心だとは言えるでしょう。

つまり寄せ集めだからこそ、たえずそういうことを意識させ続けないと、求心力がバラけていく…という意識があるのではないでしょうか。

シンガポールは「国家」ですからニュータウンよりは大きいですが、歴史が半世紀程度である…という点は似ています。

日本は島国で、江戸期は国内流動が抑制されていた時期も長かったため、このような「人工的なコミュニティのあり方」に慣れていないところがありますが、決して「単一民族」ではないし、今は国内流動も大量にあるし(だからニュータウンが造られた)、国外との人の出入りもないと経済が回らないことは、この数ヵ月の出来事が強く物語っています。

愛国意識を強調することにはまた危うさもありますが、「まとめないと、バラけていく」という状態のバランスの取り方は、ニュータウン育ちとして共感も覚えてしまいました。

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