コロナの感染者数で大阪は日本のトップを走っている状況ですが、密を避けながら、池田・逸翁美術館で開催中の企画展「阪急沿線メモリーズ 懐かしき1970-80年代の世界」を見てきました。同館はいわゆる「阪急文化」の記録装置として、「鉄」の視点でも地域住民の視点でもたえず要チェックの拠点です。

70年代、80年代ももう、懐古の対象になっているわけですね…。昭和だもんな~。50-30年前だもんな~。

濃厚でした!千里住民には見逃せない万博輸送、梅田駅移転、阪急三番街、宝塚ファミリーランド、ベルばら、阪急ブレーブス、西宮球場、ダイアモンドクロス、Hマークをつけた6300系、ポートピア’81、東宝映画の中吊り広告…今は消えてしまったものも含め、そのひとつひとつが濃厚に阪急らしく、色あせない「質量」で思い出の琴線に語りかけてきます。(残念ながら展示は撮れなかったのでチラシで代用…このデザインもなかなかですね。)

世間的には高度成長期の荒々しさが一息つき、バブル崩壊までの「よかった時代」とおじさんなんかは思ってしまうわけですが、それはまさに郊外にとっても「成熟」の時でした。

「地域らしさ」ということを、考えます。このエリアは阪急という民間企業の存在によって、そのイメージが束ねられてきた。まさにライフスタイル全部に関する提案です。では、千里についてはどうなのだろう?千里は阪急沿線の一角にありながら、ニュータウンは大阪府によって造られ、民と官がミックスしてこの「まち」の土台が形成されてきました。そこに住民は?消費者として存在していただけではないでしょう。

宝塚ファミリーランドも阪急ブレーブスもダイアモンドクロス消えた今、「阪急らしさ」はずいぶん薄味になったような気もします。それでもやはり、皆が「阪急らしい」と思う地域イメージがあって、愛着が「その地域らしさ」を再生産している。千里がまちびらき50年を過ぎて100年に向かう今、そのヒントはここにもあるような気がします。

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