ニュータウンらしい駅前風景(イギリス・スティブネジ)

(2013年8月に訪問した時の記録です。)「戦後派」のスティブネジ・ニュータウンは、駅前を降りた瞬間から、「戦前派」の田園都市とは違う雰囲気の風景が広がります。一言で言えば、千里に似てきます。前回ご紹介したタウン・センターの広場につながっているのは、ロータリー状に造られたバスのりば。交通体系の設計が、町の造りにしっかりと組み込まれてきます。

それは「モータリーゼーションの進展」という時代の流れと、戦後の住宅需要がいったん「質から量へ」シフトせざるを得なくなり、より多くの住民を効率的に町の隅々から駅前に集め、ロンドンへ送り出す…という「ベッドタウン」的な考えへの変質の現れとも言えます。

その構造は、約10年遅れで着手された日本のニュータウン設計に引き継がれました。「似ている」と感じるのは当然で、いわばこれは千里の「直近のルーツ」を見ているわけです。

もう一つ「ニュータウンぽくなってきたな」と感じたのは「歩車分離の立体交差」。駅とタウンセンターの間には自動車道が通っていますが、駅は改札が2階にある橋上駅になっていて、そのままデッキと人工地盤を通り、ある時は建物の中を突っ切って、人はクルマと平面交差をしないでタウンセンターの広場に行けるようになっています。角にアールをつけた出口のデザインも、ミッド・センチュリーの香りです。

クラシックな田園都市から比べれば不愛想なコンクリート造りで安っぽい…という評判も出るのは致し方ないですが、戦後の1940-50年代に、より多くの人たちに、より合理的で「まし」な生活基盤を整えよう…という意志は、今も立派に機能しているのではないでしょうか。ニュータウンひいきしすぎ?(つづく

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