ニュータウン・ブックチャレンジ…ニュータウンのあの頃とこれから

5月に福岡へ行っていました。1週間粘りました。そこで今回、「ブックカバー・チャレンジ」のニュータウン版でとりあげるのは「ニュータウンのあの頃とこれから 日の里団地1971-2021」(弦書房、山田雄三監修、ひのさと記憶プロジェクト実行委員会編)

日の里団地は、福岡市と北九州市のちょうど中ほど、宗像市にある中規模のニュータウン(218ha)。日本住宅公団(現UR)が開発し、賃貸・分譲の集合住宅を戸建が囲む構成になっています。小学校区2個分、中学校区1個分。そういう広さです(国交省は300ha以上を「大規模ニュータウン」として統計上の線を引いていますが、法的な扱いが変わるわけではありません)。

まちびらきから半世紀を経て、その足跡と「再生」の取り組みをたどった構成。丁寧に住民や関係者の声を集めた、誠実な本です。「まちびらき以来の足跡」と、「現在の取り組み」を1冊にしているニュータウン本って、意外とないのです。

町の玄関口にJR東郷駅があり、福岡にも北九州にも1本で通える…というのは最強の立地のようで、どちらの通勤圏でも外縁にあるということです(30分台で都心に通えるのですが)。URはこの日の里団地を「再生」するにあたり、団地何棟かを「除却」してしまう…という決断をしました。入れ物を減らす、という割り切りをしたわけです。

さて、その決断を前提として、どうしたら町を「良いバランス」に持っていけるか?

中規模のニュータウンは、大規模な町のようにダイナミックな景観や強い求心力、華やかさ、話題性は持ちにくいですが、その代わりアットホームな落ち着きがあります。

この本の読みどころは、帯に書いてある「半世紀を生きた街は、これからも生き続けてほしい。」という思いの温かさに尽きるでしょう。これはまさに、住民や出身者の気持ちです。そういう町は、今、日本中にたくさんあるのです。「鍵をにぎるのは、人と人の絆、記憶の継承。」とあります。再開発バンバンバーン!じゃない「もう一つの未来」が、この本にはしっかり書かれています。

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