遠くの町の仲間たち…ハートヒルズ錦ヶ丘(仙台)

ここはスコットランドかアリスが迷い込んだ不思議の国か…?という光景ですが、仙台の郊外。民間が開発したニュータウンのアウトレットモールです。
僕もいろいろなニュータウンの風景見たけど、「不思議感」でいうとかなり上位に入るかもしれません。背後の空のせい?商業施設だからふつうの住宅とは違うのは当然ですが、お隣のマンションも何となくこれ風にコーディネートされているのです!(戸建住宅街のほうは普通のデザインでした)
でご覧のとおり駐車場は一杯…ここはけっこう仙台中心部からの距離はあって、しかも幹線道路になど面していない丘の上の緑に囲まれたニュータウンなんですが、クルマがぞくぞくと丘を上ってこのモールにすいこまれていく…という光景を目にしました。ニュータウン住民のためのお買物便利施設というより、かなり遠くから専用バスでやってくる人たちもいるみたいです(ツアー集合の館内放送をやっていました)。
これはニュータウンが…というよりもはや地方都市はどこでもそうなのですが、通勤などは完全にクルマ社会を前提にしていて、周囲は濃い緑に囲まれたような立地なんですが強力な集客施設を造って町の活気を呼び込んでいる…という現代のニュータウンの姿です。
こういう個性の強いデザインは好き嫌いもあるとは思うのですが、僕はニュータウンって、だんだんやってくとテーマパークに近づいていくと思うんですよね。計画してある景観を意図的に創るわけですから。高度成長期はとにかく規格化して量を造るのに必死だったニュータウンも、やがて量から質へ、個性化へとベクトルが変わっていって、じゃあどんな個性を持たせるか?っていう先にはテーマパーク的な世界が待っているように思えます。
民間の町はやっぱりホームページの作り方にしても上手い!それは宣伝が上手だということです。このへんは官製の古いニュータウンも見習いたいところ。いまどきホームページもないような町に若い人が来るでしょうか?「子育て応援タウン」という位置づけをはっきり打ち出しているのも好感が持てます(若い家族ばっかり集めると数十年後に高齢化が一挙に来ることは多くの先輩ニュータウンの歴史が教えるところですが…)。
立地がいささか山の中なのと(クルマを使えば都心部までひどく遠いわけじゃありません)、町の活気があまりにアウトレットモールに集中しているところがやや心配ではありましたが、一生懸命やっている若い町、がんばってほしいなあと思いました。
テーマパークと言えば九州のハウステンボス人が住んでいる住宅街があるのですが、そこも行ってみたい…どんな気分なんだろう?

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コメント

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  • コメント (4)

    • alemie
    • 2010年 8月 17日

    アウトレットは行ったことがありませんが、なるほどです。車社会と高齢化社会、ちょっと考えてしまいますね。
    メタセコイアの並木が古江台にあって素敵なのですが、あれはニュータウン前からでしょうか。
    あやめ橋のたもとにも大きなのがありますが。

    • 奥居武
    • 2010年 8月 17日

    千里ニュータウンの中で開発前からあった木は、周辺を取り囲む竹林と、原生林を残して造成した公園(小高くなっていることが多い)の中の一部の木だけです。あとは全部、開発以降に植えた木です。古江台の並木道は、道じたいが開発前にはありません。それぐらい徹底して造成しています。
    http://senri-g1964.at.webry.info/200909/article_15.html
    http://senri-g1964.at.webry.info/200708/article_17.html
    メタセコイアも成長が速いですね。佐竹公園のメタセコイアもきれいです。
    http://senri-g1964.at.webry.info/200712/article_4.html
    http://senri-g1964.at.webry.info/200804/article_18.html

    • alemie
    • 2010年 8月 17日

    ついレスしてしまいますが、
    あれも植栽とは
    誰が(あそこは市有地?)決めたのでしょうか
    街路樹の選択基準とか都市計画のご考察を期待しています。

    • 奥居武
    • 2010年 8月 17日

    千里ニュータウンは大阪府が計画し、土地をいったん全部買い取ってから建設し、公的な部分の多く(小中学校、公園、市道など)は1970年代ごろに吹田市と豊中市に移管されました。ですからそういう部分は、現在の管理は市ですが、街路樹の種類を決めたのは大阪府です。大きな幹線道路に関しては、今も府道となっています。「オープン外構」といってできるだけ塀など造らず所有の境界を感じさせない設計になっているのが千里ニュータウンの大きな特徴ですが、実際には所有者が細かく分かれています。

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