5回目の年末を迎える「アラウンド・藤白台」、今年最後の記事は何にしようかな…と思っていたらきょうは大雪の予報で実際に舞ってきたのでしめしめ…普段ない雪景色が撮れる!…と喜んで出かけたのもつかの間、ミゾレっぽくなってしまいました…。
で、これ!前回からショッピングつながりで千里阪急前の地下通路です。年末年始の食料品を買い込む人たちで大にぎわい!千里ニュータウンの中で一番にぎわう場所、一番にぎわう日と言ってもいいでしょう。「オールドタウン」なんて言われるようになってからもう10年以上たちますが、そんな言葉を吹き飛ばすような熱気です。この場所の大晦日の熱気は、もう何十年も変わらないですね…
大晦日にここへ来ると、ああ今年も一年いろいろあったけれど、まあなんとかヨカッタのかなという気分になります。千里ニュータウンの中で僕が好きな空間×時間です。
今年、僕はずいぶん多くのニュータウンを回りました。7月には全国の大規模ニュータウン39ヵ所をひととおり全部制覇したし、上海のニュータウンにも3回行くことができました。そのあと、写真を撮って歩くだけじゃなく、その町のお話を伺う「2巡目の訪問」に入り、多摩、泉北、つくばを再訪することもできました。逆に、団地好きの若い人たち海外の研究者や、ニュータウンに関心のある人たちを千里にお迎えできましたし、地域プラットフォームの代表という役目もいただいて、なんだかどんどん頭の中の「ニュータウン率」が上がっていくようです。「よくやりますね~」と(なかばあきれ気味に)言われますけど、楽しいからできるんですよね。
ほんとうにいろいろなニュータウンを訪ね歩いて思うことは、全部にもれなく共通の特徴は、ないんです。それだけニュータウンは多様な「日本の縮図」で、「小宇宙」と言ってもいい世界の広がりを内側に抱えています。ただひとつ…たったひとつ、もれなく共通の要素があるとすれば…「町でなかった場所を町であるようにしていく皆の思い入れ、努力、工夫」!…つまり郊外や新都市というものは、放っておいても人が集まる場所ではなかった丘や田畑や埋立地や、既存の町と町の間の境界みたいな場所に「意志を持って」にぎわいをつくるのですから、「意志で持っていく」ことをどこまでも運命づけられているんじゃないだろうか?
「皆の思い」こそが町なんです!
この雑踏を見わたすと、すごくいろいろな年齢の人が混ざった雑踏になっていることがわかります。千里ニュータウンの中では高齢化も進んでいるけれど、ようやく「再生策」によって若い家族の転入も始まっているし、グレーター千里で言えば多彩な年齢層のミックスと循環に、ひとまず成功していると言っていいでしょう。千里中央に人が集まる広い範囲では、町はうまく循環している…これからのポイントは「歩いて暮らせる」範囲での細やかな目配りでしょう。経済状況が厳しく、大阪の経済も厳しく、人口も日本全体で間違いなく減っていくし高齢化も確実に進行する中で千里ニュータウンは再生期を迎えているので、状況は楽観できません。(団地建替もスローダウンや戸数縮小などの影響がすでに出ているようです。)
また来年、ニュータウンの雑踏の中でお会いできますように。皆さん、いい2011年を!

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