遠くの町の仲間たち…スウェーデンヒルズ(北海道・当別町)

この写真は、2月です!すっかりアップが遅くなってしまいました…。北海道ニュータウン旅行の最後は、スウェーデンヒルズ。行ったときはまさにこんな吹雪でした…
これは、ニュータウンなのか?別荘地なのか?…と思いつつ、この名前をwikipediaで見たときから、行ってみたいと思っていました…。ニュータウンは最初の頃(60-70年代)は、とにかく規格化された住宅を、大量に!早く!安く!でどんどん建設されたわけですが(そうしないと経済成長による人口の都市集中に間に合わなかった…)、やがてその季節が過ぎると、画一性への反省が生まれ、やはり町はもっと個性的でないといけないんじゃないか…?それに皆目が肥えてきて、特徴を打ち出さないと売れないというステージ(80年代-)に入ります。当時日本は豊かでしたから(涙)、個性化によるコストアップをしても、受け入れる余裕もありました。
そういう時に日本人がよくやるのは「外国のモチーフを輸入する」というパターンです。神戸三田のワシントン村、西神ニュータウンのシアトル村やバンクーバー村…規模は小さくても本格的な輸入住宅によるニュータウン(の一画)が造られました。(背景には日本の輸出超過を緩和する…という事情もあったようです。)「新しい理想の町」を外国に求めるのは日本人だけじゃなく、中国の上海でもこんな例や、こんな例や…。
その名もスウェーデンヒルズはどうなのか?ここは民間による開発です。開発者はスウェーデンハウス。札幌からは25km。学園都市線のディーゼルカーで、札幌駅から40分少しでもよりの石狩太美につき、そこからは町のコミュニティバスがあります。丘の上の300haの半分がゴルフ場、半分が住宅地で、1984年からこつこつと679区画を分譲し続け、セカンドハウスとして使ってる人も1/3ぐらいあるけど2/3は定住している…ということですから、まあ、ニュータウンと言っていいのではないでしょうか…。
ちなみに正式な町名も「スウェーデンヒルズ」です。タクシーの運転手さんに聞くと、これといった名所がない当別町(とうべつちょう)で、スウェーデンヒルズは町民の誇りだそうです。あと最近できたロイズのチョコレート工場。創業者がここの出身なんだそうです。スウェーデンヒルズとチョコレート工場が2大名所だなんて、メルヘンの町みたいですね…。
なぜ北海道の当別町にスウェーデンの町を造ろうとしたか?これは会社の創始者が北欧の生活文化に感銘を受けて日本でもそれをまとまった町としてやろうとした…のが始まりだったと聞きましたが、最初は石狩港の開発で入ってくるだろう労働者の住宅供給のために…という路線を考えたものの、輸入住宅はどうしても高くなってしまうため、今のような「別荘地みたいな高級路線の住宅地」という路線に落ち着いたようです。
30年近くの歴史の中で、バブルがあり、その後の経済下降があり、今も分譲を続けていますが高いと売れないために建売のお得区画を設定したり、元は2階建だけだったのを平屋も可能にしたり、時代に合わせて修正はしているとのこと(それでもけっこういいお値段でした…)。
道外から移住して来る人が大変多く、リタイヤ層もいるけれどそれだけではなく、若くて一人暮らしの人もいるそうです!家族の小規模化はこんなところでも進んでいるんですね。関西からの移住もなぜか北海道は多いそうです。震災で内地を逃れて…という人も何組かいるとのこと。人生思い切った決断をする人はけっこういるんですね…ここはたしかに町としてはきっちり造ってあるし(電柱は地下埋設です)、多少不便とは言っても札幌にも通える距離ではありますから、「世捨て人」にならないで自然も満喫しよう!と考えたら、いいバランスなのかもしれません。湘南に住んで東京に通うみたいな感じかな?学園都市線は今年の夏から電化区間が延びてスピードアップするそうです!
行った日、行った時間はすごい吹雪で写真もろくに撮れず早々に丘を下りてしまいましたが(ニュータウンの写真を撮りに大阪から北海道まで来て凍死…なんてことになったら、たいがいの人はなんでそんなことしたのか理解に苦しむでしょう…)、運転手さんによれば、夏はそれは素晴らしいとのこと。そんなこと聞いたら、夏も行きたくなってしまうじゃないですか!
いろんな町に、いろんな生き方がある…「ニュータウン」は「理想の生き方」の見本帳みたいなところもありますね。凍えそうだったけれど、訪ねてみて良かったスウェーデンヒルズでした。

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