「文化としての団地」への敬意(シンガポール・チョンバル)

(2018年7月に訪問した時の記録です。)ブロックまるごと、保存された団地群の中に入ってみます。う、美しい!ラウンドを描いた建物のデザイン、きれいに刈り込まれた芝生…この建物は戦後まもなく、1948~54年にかけて、インターナショナル・スタイルで建築されたという説明板が建っています。しかも実際に人が住んでいます。棟間距離はそれほど広くないですが、4階建ですからね。

僕はこれまで、千里ニュータウンが日本初の大規模ニュータウンなら、(不遜にも)アジアで初めてのニュータウンではないか?と思っていたのですが、規模の違いはあるにせよ、「文化としての団地」への敬意を目の当たりにすると、とてもここには頭が上がらないなと思いました。シンガポールは日本以上に人口圧力が高く「経済オリエンテッド」な国なのに、一方ではこういう保存をきちんとやっている…。

英語によるこちらの説明によれば、1920年代後半に始まったチョンバルの開発は順次拡大され、戦争を挟んで1950年代終わりまでに17,000人の人たちが住んでいたとありますので、規模としても立派な「ミニ・ニュータウン」ぐらいはあります。

「再生策≒ほぼ建替」になっている千里の現状を考えると、ただ頭を垂れざるを得ないなと思いました。千里は千里の現実解として建替は否定しないんですが、こういう部分がもう少しあってもいいのではと考えてしまいました。

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  1. 2020年 7月 16日

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