「ニュータウンの人口は一度減ってもまた増える」?

T台の皆さんにお話をする機会がありました。T台は千里ニュータウンの中でも人口減少が著しい住区です。

T小学校の児童数は1990年に364名で一度底を打って2000年には536名まで増えていますが、それはテラスハウス型の低層府営住宅を中高層に建て替えたから。2回目の山の536名は、1回目の山の1,311名に遠く及ばず、今はまた(たった14年で)233名まで減ってしまいました。14年で半分以下。全校7学級。文科省の基準は「12学級以上18学級以下を標準とし」とあるので市がこの基準に忠実にやったらかなりきわどい状況です。

ところが地域のご高齢の方は、前回の増加を論拠に「ニュータウンの人口は一度減ってもまた増える!(だから戸建の敷地分割など認めるべきでない)」と主張される方があります。たしかにT台は府営住宅の比率が高く、かつ最初から中層の団地の建替の順番が遅れていて、これが建て替えられれば、若干の増加と一時的な若返り効果は見込めます。しかし全体の強い「減少圧力」をよく考えなければ、1住区1小学校を維持できるのかどうか?…それは町の骨格に関わる変化です。

「人口は減ったほうがゆったりしていていい」という意見もありそうですが、人口が減るから、お店ももたないのに。ニュータウンの将来は、過去の延長線上にはたぶんないということを、皆で考えなくてはいけないのですが、「前提を共有」することは本当に難しいことだと感じました。

この投稿は2014年10月25日にfacebookに投稿した文章に加筆したものです。

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