噴水のサイズから考える(イギリス・レッチワース田園都市)

(2013年8月に訪問した時の記録です。)町の中心軸である「ブロードウェイ」の細長い公園を歩んでいくと、そのどんづまりには、まことにオーセンティックで由緒正しい感じの噴水が、誰もいない8月の青空に水を噴き上げ続けていました。飾り気はないけど、大きいです。池の形は、八角形。

田園都市で噴水…と言えば、思い出すのは千里山の噴水です。千里山は、噴水もレッチワースに倣ったのかな?…少し調べてみると、レッチワースのほうも千里山のほうも、最初からこういう噴水があったのかは、わかりませんでした。訪問時点でレッチワースは110年、千里山は92年もたっていますからね。少なくとも千里山の噴水は1979年に改装されています。しかし全体の空間の取り方は、変わっていないでしょう。(千里山の第二噴水は不肖の後輩・ニュータウンの開発のため植え込みを削られていますが…)

われらが吹田の千里山、ずいぶんスケールダウンしてんじゃん!本家ほどおカネがなかったから?平たいスペースがなかったから?大正期の日本はまだ発展途上で、大英帝国に遠慮したのかな?…と妄想を巡らせてみましたが、だんだん「これは無理だったから小さくしたのではなく、意識的に『日本らしい田園都市』を作ろうとしたのでは?」とも思えてきました。「大きいことは、いいことだ」「大きいことが、本格的」というのは、一つの価値観でしかないからです。

公園を挟んで並行する2本のブロードウェイの車線(それぞれ一方通行)は、噴水の向こう側で優雅に曲線を描いて合流し、立派な並木道となって前方に続いていきます。このあたりで道沿いの公共施設は終わり、いよいよ住宅街です。(つづく

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