イギリス初のラウンドアバウト(ロータリー)(レッチワース田園都市)

(2013年8月に訪問した時の記録です。)町に優雅さと威厳を与えている噴水を越えて、中心軸のブロードウェイをさらに進んでいきます。この間はまさにレッチワースの中でもシンボリックと言っていい大並木通りで、スタイルの統一された住宅街が続きますがその向こうには…

ロータリー!千里ニュータウン、わが藤白台にもある…。いえ、ここではラウンドアバウト(roundabout)と言っています。そしてここは「英国初のラウンドアバウト(1909年)」という誇り高き表示が出ています。

「ロータリー」と「ラウンドアバウト」は、どちらも道路の交差点を環状型にしたものですが、交通規制の方法が異なります。「ロータリー」は外から環状道路に入ってきたクルマが優先、「ラウンドアバウト」は環状道路を回っているクルマが優先。あれ?藤白台のロータリーは進入前に一旦停止のサインがあるぞ…と混乱してしまいますが、あれは手前の横断歩道に対する一旦停止なのだそうです。

しかしいずれにしても「むっちゃ親近感」が湧くこの街角、いや、「角」ではないな…。「ついにルーツまでやってきた!」感が高まるひととき。千里ニュータウンには円形のロータリーは3ヵ所ありますが、これこそ千里がイギリスにあこがれて設計された痕跡ではないでしょうか…。このような環状交差点はクルマが直交しないために重大事故が起こりにくく、信号なしで交通制御ができるメリットがありますが、欠点は「場所を取る」こと。なので日本の既成市街地にははめこみにくく、「ニュータウンらしい設計」と言えるのですが、実は千里より後発の、日本の他のニュータウンでも採用例は多くありません。やはり場所を取り過ぎるのでしょうか…。

そしてこのサイズ。藤白台の半分ぐらいの大きさです。勝った!(なにがや…?)噴水の大きさではレッチワースは千里山住宅地よりかなりアップスケールでしたが、この環状道路では千里ニュータウンのほうがかなり大きい。それはやはり、この田園都市が「クルマ社会になる前」に造られたことの証左でしょう。それでも渋滞など起きることはなく、十分に流れる程度の通行量しかないようでした。それは言い換えると人口密度が低く設計されているから…どこまでも優雅なレッチワースの街角なのでした。いや、街丸でした?(つづく

※日本の環状交差点をマニアックに集めたサイトは→こちら

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