理想の町を追いかけて…ご来場ありがとうございました。
- 2010/11/15
- 日本のニュータウン
- イベント
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日本の大規模ニュータウン39ヵ所全部歩いてみた!…という私の酔狂な「趣味の研究」に興味を示してくださる方があり、11月13日(土)、千里中央「コラボ」でご報告をする機会をいただきました。
その様子はこちらにも書いていただいていますが、当日会場から出た質問をご紹介しましょう(回答部分は当日話せなかった補足も入ってます)。
●Q.どういう交通手段で見て回ったのか?
◎A.関西の場合は自分のクルマで行ったときもあるが、遠くのニュータウンは鉄道で基幹の駅まで行き、そこでレンタカーを借ります。ニュータウンは造りも大きく、「なんでこんな場所に…?」という立地の場合もあるのでクルマはやはり必要です。ただしクルマだけだと「生活の襞」を見落としてしまうので、どんなニュータウンにも必ずある「タウンセンター」の駐車場にクルマを入れ、周辺を見て歩きました。鳥の目と虫の目の両方が大切です。
●Q.アメリカの富裕層住宅地に見られる「ゲーテッド・コミュニティ」化は、日本の場合どれぐらい出現しているか?
◎A.兵庫県の潮芦屋の一部に、海沿いの住宅地で自宅の裏口にヨットを直接つけられるという芦屋ならではの「ゲーテッド・コミュニティ」が誕生しています。でも行ってみたらすごくささやかな一角でした。チバリーヒルズとして知られる「あすみが丘」は、とんでもない豪邸街ですが町の入口に柵はありません。そのあたりが20年前だなと思います。むしろ最近の大規模マンションに見られる「敷地内に人が入れない」構造の住宅のほうが普及しているでしょう。物騒な世の中ですから「セキュリティ完備」をうたったほうが入居者が集まってしまうのです。しかし千里ニュータウンの大きな特徴はどこでもツーツーに敷地内を横断できるオープン外構にあり、それが「一つの町」だという一体感を高めています。囲えば安全になるというのは間違っていると思うし、千里は団地建替が進んでも、できるだけ敷地のオープン性は保ってほしいと思います。それに「囲われた場所」からは、子供は出て行こうとするんじゃないでしょうか?外界から遮断した環境は、教育的にも問題があると思います。ちなみに上海では公営住宅でも敷地全体を柵で囲っていましたが、門はツーツー…設備と運用は必ずしもマッチしているとは限りません。
●Q.ニュータウンと大学、博物館の関係はどのように計画されているか?
◎A.つくばや宮崎や東広島(賀茂学園都市)のように、「学園都市」をうたったニュータウンはたくさんあります。名前が「学園都市」でなくても、ニュータウン計画と大学誘致をセットにした例もたくさんあります(たとえばこちら)。しかしほとんどのニュータウンでは、学生はその中に住むようにはなっていません。宮崎では宮崎大学のキャンパスがニュータウン内にありますが、学生はごく一部のキャンパス内の寮を除いて、ニュータウン外にはりついた除外地のアパートに住んでいます。それで「学園都市」と言えるんでしょうか?つくばでは、筑波大学の広大なキャンパスの中に、一年生は全員入れるぐらいの広大な学生寮群があり、ほんとうに大学とニュータウンが一体化していました。「学園都市」を名乗るなら、そうでないとおかしいと思います。
博物館の場合は神戸三田の「人と自然の博物館」、多摩ニュータウンの「パルテノン多摩」などが、人が集まるニュータウンの中心に立地しています。「パルテノン多摩」はホールなどもあり総合文化施設というべきでしょうが、にぎわっているようです。
●Q.千里ニュータウンも人口減少してさびれていく危険性はあると思うか?愛知県のニュータウンでは、日本人が減って外国人が多くなっている町もあると聞くが?
◎A.実は千里ニュータウンは、日本のニュータウンの中で一番立地に恵まれていると言われています。新幹線の駅も空港も13分で行けるニュータウンなんて、ほかにありません。ですから将来の道筋は「千里だけは別だ」という人も多いです。しかし油断はできないです。人口減少は日本の社会全体の課題だし、そのスピードは相当に激しくなっていくと予測されています。規制緩和で都心に若い人も買える価格のマンションがぞくぞくとできています。それにくらべて、千里は「高い」。「千里ブランド」なんて言って喜んでると、若い人が来ない町になってしまいます。千里中央周辺は便利ですから「高くても来る」人がけっこういて、雑誌の「住みたい町ランキング」などにも出てきますが、千里ニュータウンの中でもバス便になるような場所は、団地を建て替えて高密度化しても、ちゃんと人が入るんだろうか?と思います。ニュータウンの中で人気が分かれていくということは、すでに兆候が出てきています。
公営住宅が多いニュータウンでは、外国籍の住民が多くなっていくでしょう。外国人比率が人口の7%になっているという数字を聞いたことがありますが、もっと多い場所もあるでしょうね。ニュータウンはもともと「よせあつめの町」で「流民の町」なのです。新しく社会に入ってきた人の受け皿として始まっているのですから。今後もっとバラエティが散らばっていったときに、どうやってコミュニティの分断を防ぐか?ということはますます大切な課題になるでしょう。
●Q.住宅地としてだけでなく、お買物や医療にかかる場所としてニュータウンを考えると?
◎A.お買物も医療も、「クルマで行く大きな場所」に集約されていく傾向は日本のニュータウンどこでもあります。特に地方では、ニュータウンに限らず「クルマで移動する」ことが生活の大前提になってしまっていて、すると大きな充実した場所であればどこでもよい、ということになってしまう。ところが日本は高齢化も進んでいるわけですから、じゃあクルマが運転できなくなったらどうするのか?いやぎりぎりまで運転して無理になったら施設に入るんだ…という話も聞きました。お買物は日本中どこに行っても大きなモールがそびえているし、医療に関しても千里のような個人開業医の「医者村」が多くのニュータウンで造られていますが、お医者さんも高齢化して廃業してしまう…というケースが多いようです。千里ニュータウンは道は広いのに駐車場が少なかったり、「クルマ対応」としては初期の中途半端な設計になっていますが、「クルマでも歩いても生活できる」設計が、高齢化してくるとメリットになってきています。後発のニュータウンでは、もっとクルマ社会に割り切った設計になっている所が多いのです。「歩いて暮らせる」ことはこれからのキーワードで、郊外型の巨大モールはこれからもたなくなっていくだろう…という予測もあります。千里でも駐車場、余り始めてますよね?クルマ社会が角を曲がると、これまで進んできた町の変化が逆方向に進み始める…という「大前提の転換」が起きるかもわかりません。
●Q.上海ではスプロール化、都心空洞化は起きていないのか?
◎A.そんなふうには見えませんでした。郊外にもばんばんニュータウン造ってるけど、都心も古い家を壊して高層マンションをがんがん建てているからです。都心の新築マンションは日本と変わらない値段で、いやな話ですがお金のない人を郊外に押し出している感じがします。立ち退きの法律も違うのでしょう。マンション群は日本より高層で高密度化しています。上海に比べたら日本の都会はずいぶんペッタンコに見えます。つまりそれだけ上海では人口を都心に近い場所に引き寄せる都市計画になっていて、平均通勤時間は40分台と、東京より短いようです。それとひきかえに空は狭く緑は少なくなりますが、どちらがいいんでしょうね?
…とまあ、質問もツボをついていて的確で、すごく充実した質疑応答でした。いや~緊張しました。ニュータウン設計した人とか会社の同僚とかいるんだもん。でも本当に「手ごたえ」がありました。ありがとうございました。お声がかかればどこへでも何度でも話に行きたいと思っています。
※写真は紅葉の斜面に広がるUR千里青山台団地。昔は駅前広場から見えたんですが、いまじゃサティ(開業時はビブレ)が眺望をブロックしてしまったので、立体駐車場の上からアングルを探しました。
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この記事とは少し外れるかもしれませんが、
さきほどたまたまNHKの番組「ブラタモリ」を見ていたら、今日のテーマは「日本の住宅」でした。
木造の長屋から団地に至るまでの建物が出てきて興味深く見ることができました。
最後のほうにひばりヶ丘団地のことが少し出てきました。団地入居前に見るビデオというのが、少し放送され当時の部屋の様子や暮らしぶりなどが見れました。
再放送は、BS2 11月25日(木) 午前11時00分 ~ 11時49分「日本の住宅」
この写真とても気に入りました。こんなアングルで撮れるんですね。紅葉もきれいですね。久しぶりに行ってみようかな。
今年の紅葉は、けっこういいようですよ~。ブラタモリ情報ありがとうございます。あの番組好きなんですよ。再放送録画しよっと。こないだの回は東京の二子玉川でしたね。玉川高島屋は1969年の開業で、1970年開業の千里阪急と並んで郊外型百貨店の先駆けだったと思います。
早速 紅葉を見に行ってきました。
写真でしか見たこなかった三色彩道ですが、かなり目立っていました。
ついつい真っ赤に染まった木々を見てしまいますが、全体を見渡すとちゃんと三色になっていてとても良い感じでした。
こういう景色ありそうでなかなかないですね。
ブラタモリの再放送保存しようと思い録画しましたが、国会中継の為か?中止でしたね。
総合 12月1日(水)【30日深夜】 午前1時05分 ~ 1時55分
「日本の住宅」に再放送です。
うちもしっかり国会中継録画できてました。(爆)フォローありがとうございます。
三色彩道は毎年見ていますが毎年色が違います。雨が降って散ってしまったりどす黒くなったりいつまでも青いままだったり…気温と天候条件の組み合わせで、なかなか「ベスト」というわけにいきません。今年はわりといいほうだと思いますが22日に雨が降ってしまいましたね。いまトップに使っているのは2001年に撮った写真ですが僕が撮った中ではこの年が一番きれいでした。三色彩道が散り気味になったころから古江公園が見ごろになります。ここは電車の中から一瞬見えますが贅沢な車窓のステージが楽しめます。